3.1 物質の始まり

物質の究極的な起源は宇宙そのものの起源と共に考えなければならない。宇宙は137億年前の開闢以来膨張を続けている。宇宙の最も初期の急膨張(インフレーション)に続く超高温・超高密度の灼熱の火の玉(ビッグバン)状態の中で、最初に光子を含む大量の素粒子が作られた。その後、クォークと呼ばれる素粒子が結合して中性子と陽子が形成された。ヘリウムの大半は宇宙開闢以来1秒(温度百億度)から3分ほどまでに陽子と中性子を原料として作られたものである。

人体を構成する炭素や空気中の酸素、窒素などの元素は太陽のような恒星の中での核融合反応によって水素とヘリウム原子を原料として作られたものである。元素が宇宙空間に遍在しているのは星の終末期の大爆発、すなわち超新星爆発によってそれまでに核融合した元素がばら撒かれたからである。